いま、私たちみんなで創り続けている「龍宮のマツリ」です。
郷音舎という郷の音を再現する人たちから、海の音、山の音、そして人々の生死を描いている武陣太鼓、一つ一つ、加わっていきます。

もともと、私たちは2010年から、さとおと太鼓教室、郷音舎、武陣太鼓、VONBONといういくつかのプロジェクトに分かれてあゆみを進めてきました。
最初にあったのは、日本各地の郷土芸能がどんどん消えていることへの危惧でした。
郷土芸能は土地の記憶であり、その中には、その時の国の動きや世界情勢に左右されない伝承と、人々が受け取ってきた記憶が宿っています。人の手から手へ、口から口へと語り継がれていく伝承は、世界中のどの場所にもあります。それが日本では、どんどん消えていることの意味を知り、それらを受け継ぎ、それが人と人を繋いできた姿を再生することが出来るのかをテーマに、私たちの教室は立ち上がりました。

子どもから大人までが集う教室では、社会全体で子どもを育てる姿を再現しました。
舞台裏にベビーカーがやってきたり、大人の稽古の時には、子どもたちが稽古場の後ろで宿題をしたり、みんなが大きなファミリーのように過ごしました。

春には必ず高校生たちがやってきて、太鼓と一緒に、80代の継承者の皆さんから土地の芸能を教わります。
そして、それらの芸能をデータとして記録するのがVONBON。デジタルカメラ、映像、電子楽器、テクノロジーの世界にいるアーティスト達が作品制作のため、継承者の方々の芸能を録画した音を加工しました。
誰もが社会のために、と行ってきた訳ではなくて、それぞれの望みのために動き、その望みの方向が全て合致するように構成したのが私たちの稽古場でした。

2010年から立ち上げてきた動きが2020年にまとまり、全体で一つの舞台を構成しようとしたところで、伝統的な楽器に携わる班とテクノロジーに携わる班とが分かれました。
社会の動きをまともに受けたこともありましたが、これはとても象徴的でした。

伝統的な楽器に携わる場所では、何事も一人では成り立ちません。
ですから、協力する、ということが必要です。一つの音楽を作り、舞台で演奏していくまでには、人と人とが理解し合い、協力し合うことが必要になるのです。まるで沢山の石に磨かれていく石になったような気持ちです。

一方、テクノロジーは、一人で成り立つ世界でもあります。実際には、そうではないのですが、現実的にパソコンの中に入っている音源を組み合わせて一人で組み立てることも出来るのです。だから、石に磨かれることはとても少なく、人との摩擦には非常に弱い反面、先を見通す水先案内人のような力を持っていました。

両者は日頃、食べている食べ物も異なるし、見ているものも異なっていました。
両者が存在していた稽古場は、とても不思議な場所でした。
まるで現代社会そのものだったのです!

さて、この話は10年間にもわたるある種の社会実験的な側面もあるので、折に触れて、その中で私たちが学んできたことを書きたいと思います。

今日はその先にある「龍宮のマツリ」のことを書きます。

2020年、一堂に集まる計画が難航し、2021年、龍宮のマツリとして再構成しました。
このマツリは、ある時期が来るまで、1年に1回、2年に1回、必要な時期に企画し、完成するまで行う予定です。

2021年には、最初の写真のような舞台セットができました。
陰陽の太鼓。月と太陽、龍と鳳凰、火と水です。
雅楽などでも設置される陰陽の太鼓ですが、もともと描いた図は、この太鼓とは異なるもので、それはこの太鼓の裏側に登場します。こちらは表面。伝統を象徴します。

この舞台が設置されたのが、海と郷の地、淡路島です。
私たちは、そこで、郷の音に続いて、海の音を探求する機会も頂きました。

淡路島には龍宮の門がある場所があります。そして、日本中には龍宮伝説があります。
この舞台を創っている時に日本の民話を全て集めて龍宮伝説を探したのですが、海だけではなく、陸の中の湖や滝などにも龍宮伝説があることを知りました。

この時に、あらゆる地の水と水とは繋がっており、水で世界は繋がっているのだ、と分かりました。
例えばそれが陸で遮られていたとしても、水と水とは繋がっているのです。それが龍宮の象徴でした。
また、作品づくりの中で、農業を営む方々と漁業を営む方々、伝統産業の担い手の皆さんに出会い、話を聞いているうち、山、郷、海の三つが水で繋がっている、この3者が話し合いをするときは、水のことなんだと教えていただきました。

そんなところにようやく辿り着いて、ホピ族の方々の映像を拝見したとき、もっともっと水はすごいものであるとお話をなさっていました。とても貴重なお話だと思います。
かまどの神様や道具の神様も存在している日本の地に住む人には、自然に理解しやすい考えかと思います。

私たちは今年、全教室で沖縄の音楽に取り組むので、沖縄について調べています。
沖縄にはニライカナイという伝説があります。まさに龍宮伝説の一つの形です。
2021年に作品作りをしている時には、なぜかニュージーランドの先住民の皆さんの伝説とリンクして、その方々が黒潮に乗って淡路島に上陸していたという歴史と繋がり、驚いたことがありました。

「龍宮のマツリ」は一体、どんなストーリーになっていくのでしょうか。
世界各地の皆さんの素晴らしい叡智に学びながら、構成していきたいと思います。

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